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あたしは毎日5、6個夢を見る。3日に1度くらいはその中に画家さんも出て来る。夢の中でくらい幸せに強欲に、あたしは画家さんを貪ればいいのにと起きてからいつも思う。
あたしは現実も夢の中も吐き気のする良い子ちゃんだ。馬鹿げた良い子ちゃんだ。
画家さんのことを気にしながら、自分を責める。
せっかく一緒にいられるのに、自分を責める。
夢の中のあたしは、自然体で普通に会うみたいに、変な意地はってないだけに悲しい。
優しくされても冷たくされても、あたしはそんな画家さんの正義と優しさに自分を責める。
ごめんなさいごめんなさい。
悲しい思いをさせてごめんなさい。
あたしなんかのために、奥さんと子供の目を騙すようにかいくぐり、心配して会いに来てくれる。
最初はただ単純に好き合ってたはずなのに。画家さんは画家さんの意思で、画家さんの責任であたしに会いに来てくれていたはずなのに、今ではあたしのせいで違くなってしまった。
もう画家さんは参ってきてしまっている。
このままじゃもっと嫌われちゃう。そんなのは嫌なのに。ただ単純にあたしは画家さんを好きで画家さんにあたしを好きでいてもらいたいのに。
引っ込め。引っ込め、あたしよ!
画家さんのことを考える度に、気が狂いそうになるほどの嫉妬と殺意がわき上がる。こんな思いをさせる画家さんにあたしは殺意を覚える。
まるで学生時代みたいだ。全世界を恨ませた世界をあたしは恨んで恨んで恨みまくった。
通りすがる人ひとりひとりに義務のように死ねと繰り返し念じ、何度全部燃やしてやろうかと思った(灯油が手に入らなくて止めた)。
それは、後から見て悲しいことだった。
それを教えてくれたのは画家さんだ。画家さんの愛だ。
だから、そんな画家さんに対してあたしはそんな気持ちを持ちたくないの。
お願いだから、引っ込め。あたし。
切り裂いてぶっ殺すよ。
殴りつけて痛めつけるよ。
すぐに思考を止めなさい。
ああ。ああ。あああああああ。画家さんはいま、何をしていますか。奥さんと子供を愛していますか。あたしの家みたくなっちゃ駄目だよ。
画家さんは居場所を自分で作ったんだ。それをあたしが壊しちゃいけない。あたしは画家さんの居心地のいい場所にならなくちゃ。ならなくちゃ。なりたいのに。
ああ。ああああ。ああああああああ!画家さん。画家さんはいま何をしていますか。他の人にもあたしに言うみたいに好きなものは好きと言ってキスを与えていますか。
あたしはもう怖がられちゃって参られちゃって抱きしめてももらえない。頭をもたせたときの、びくっとした感覚。筋肉に力が入った微妙な、抵抗感。嫌だった?
もうあたしに触れられてほしくないのでしょうか。義理で、仕方なく、責任感の元、あなたはあたしに会ってくれたんでしょうか。
きっとこれらのことを問えば、違うよ、と画家さんは真剣な口調で言う。それは違うと。
あたしは信じたいんだよ。本当は信じてるんだよ。
でも、この疑心が抜けないの。あたしのことを嫌わないで。怖がらないで。考えたくないことのひとつにしないで。
馬鹿げている。客観的に見れば馬鹿げている。笑っちゃうくらいに、客観的に見ればあたしはただ遊ばれてるだけの女じゃないか。そんな関係にさせている自分を殺したいくらい恨む。
もっと神聖なもののはずなの。
あいしあうってことは。
画家さんは、ずっとあたしがほしかったものをもってた人。昔からあたしは欲張りすぎる。ほしがりすぎるんだ。もっと我慢しなくちゃ。嫌われちゃう。
ああ、でも。
画家さん、いま、何をしていますか。